グルメピエロ(オス)です。
アカデミー賞を複数回獲得した映画界の巨人フランシス・フォード・コッポラが惚れ込み、四半世紀以上の歳月をかけて復興したワイナリー「Inglenook(イングルヌック)」。長い歴史の中で栄光と挫折、再生を繰り返して来たこのワイナリー。ワイナリーに一歩踏み入れると、そこはまるで別の世界。映画の中の世界のような美しい世界で飲むワインは格別でした。最高の体験をレポートします。
目次
Inglenook(イングルヌック)
イングルヌックってどんなワイナリー?
グルメピエロのインスタで過去にも登場したことのあるナパバレーのワイナリー。「ゴッド・ファーザー・シリーズ」や「地獄の黙示録」などで知られる巨匠フランシス・フォード・コッポラ氏が所有していることでも知られるワイナリーです。コッポラといえば、コッポラ・ワイナリーで有名ですが、こちらはコッポラが持つワイナリーとは別ラインで、最高級ワインを中心に展開しています。
壮大な物語を掻い摘んでご紹介します(少し長いのでワイナリー体験記を知りたい方はこのブロックを飛ばしてください)。
イングルヌック・ワイナリーの誕生は1879年。まだロシア領だった頃のアラスカをベースに漁などを行い財をなしたグスタフ・ニーバウム氏によって「ヨーロッパに匹敵するワイナリーを作ること」を目的に建てられました。ニーバウム氏は研究熱心でヨーロッパからカベルネ・ソービニオンなどを持ち帰り植樹。メルローに関しては、ナパとしてかなり初期の植樹だったそうです。ニバーム氏の熱意とともに有名になっていくイングルヌックですが、彼の死と1920年から33年までの禁酒法によってその成長は阻害されてしまいます。
その後、心ある人物が新たなオーナーとなり再び栄えるのですが、その人の死によって土地がバラバラとなり所有権が色々な人へ移ってしまいます。その中のオーナーには「質より量」というような商業ベースの考え方を持つ人もいて、それまでに築いた地位・名声は地に落ちてしまいます。
その状況を大きく変えたのが1975年。「ゴッドファーザー パート2」でアカデミー賞を獲得した映画監督のフランシス・フォード・コッポラ氏が新オーナーとなります。彼はもともと休暇を楽しむような別荘としてイングルヌックの土地の一部を購入したのですが、取得後すぐにイングルヌックの本質に気づき、その時に「どれだけ時間がかかっても元の形を取り戻そう」と誓ったのだとか。そして、年を経る事30年。1995年に元のワイナリーの形をついに取り戻しました。その後も著名醸造家を迎えたり、変革を行いナパでトップクラスのワイナリーへ、そしてワイン界の表舞台へ戻っていきます。
アクセス
イングルヌックがあるのは、ナパのセント・ヘレナとヤントビルの中間あたり。モンダビやオーパス・ワンの近くにあります。オーパス・ワンでの体験記についてはこちらから。ここはここで近代的な美しさが素晴らしかったです。
かっこいい門がお出迎え(すみません、撮るの忘れてて帰りに撮影なので逆から)。門は固く閉じられているので、門の横にある読み取り機に予約時に送られて来たQRコードをかざし、中へ。要予約です(詳細は最後に)。
綺麗な一本道。森へ誘われます。自転車に乗っていきましたが、3〜4分ほど漕いだほど距離がありました。
伊豆マイナー観光地「虹の郷」的なやつがお出迎え(笑)
森の中の美しいワイナリー
巨匠が感じた本質に出会う?
木漏れ日が気持ちいい空間が広がります。この空気を吸うだけでこの場所の素晴らしさがわかります。
ワイナリーの全景はこんな感じ。植物に覆われた存在感のある建物。オーパス・ワン的な近代的な美しさではなく、歴史を感じる温かみのある建物。
入り口のところにポツンとあるこの椅子、実は、コッポラの特等席!!
ワイナリーにパジャマでやって来ては、ここに座ってあたりを見回しているんだとか。コッポラの家もこの敷地の山の方にあって時間があれば訪れているそうです。奇跡が起これば出会えるかも?
ワイナリーの資料館
イングルヌックにはコッポラの映画とワイナリーについての資料館がついています。素朴な資料館だけど映画好きにはたまらない空間に!
美しい!!階段に降り注ぐステンドグラスからの光、左右対象の作りも綺麗ですね。
真ん中にいるのがこのワイナリーの創始者グスタフ・ニーバウム氏、ひげが特徴的ですね。アゴはどこまでなんだろ?
これは映画やアニメの起源とされるフェキナスコープの絵ですかね?建物内には映画の起源となったような数々の機器もありました。
オスカー像!これはゴッド・ファーザー・パート2のものですね。
映画とワインはともに、過去・現在・未来と時間に向き合う仕事でどこか似ている気がします。未来に誰かに観てもらうことを目指して、過去というフィルムを現時点に積み上げ思いを込めていく事。未来の誰かに飲んでもらうために、これまで積み上げたブドウの木の歴史の今しか味わえないこの瞬間を閉じ込めて、ワインを作っていく事。
2時間を2時間と感じさせない素晴らしい映画体験や、長い時間をかけて自分のもとへやって来たワインを飲んだ時のなんともいえない感慨深さはこの「時間」の扱い方にあるのだと思います。映画もワインも大好きなので語りすぎてしまっていますが、この場所ではそんなことをふと思ってしまうような素晴らしい体験ができます。
ワインテイスティング
いざ、ワインテイスティングへ!!
ワイナリー側の中はこんな感じ。
数々のテイスティングメニューがあるのですが、グルメピエロが選んだのは基本の「Heritage Tasting(ヘリテージ・テイスティング)」($60)。
「2017 Sauvignon Blanc」(ボトル価格$35)。青い!爽やかで明るい味わい。テイスティングのスタートに良いワインです。
他にも白を試しました。「Blancaneaux」($65)。白ブレンド。ミネラル感が強く、青さも。Blancaneauxはフランス語で「白い水」の意味。水といえど、複雑な味わいがあって、一辺倒ではない感じ。
ここからは待望の赤ワインへ!!
「2018 Edizione Pennino Zinfandel」($48)。スパイスもありつつ、バランスが良い感じ。優しく滑らかなベリーの味わいです。このワインは、母方の祖父フランシスコ・ペニーノの名前から来ています。ラベルは、ペニーノ氏が1905年にナポリからニューヨークに移住した後に始めたレコード会社のロゴを複製したもの。
コルクには、ペニーノ氏の曲のタイトルが刻印されているというこだわり。刻印されている曲は、ビンテージごとに違うんだと。ワイン作りにコッポラは関わっていないけど、こうしたラベルとか「作り」に関わっているみたいです。
このジンファンデルは、このワイナリーで植えられた最も古い品種。ニーバウム氏が到着する前からあるもので、75年に土地を購入したときには葡萄畑を撤去するようにアドバイスされたけど、コッポラがジンファンデル好きだったので残したらしい。
「RC Reserve Syrah」($62)。シガーにも合いそうな、パワフルでスパイシーなワイン。こちらはシラー愛好家のコッポラの息子、ローマン・コッポラがアイデアを持ち込んで実現したもの。RCは彼のイニシャルから来ています。
ローマンはラベルもデザインしていて、子供のころに切手集めが大好きだったことから切手をモチーフにしています。ご飯を食べるのが苦手だった幼少期、虫がデザインされた食器は唯一お気に入りでこのお皿からならご飯を食べられたという思い出があるのだと。その思い出をもとに、ラベルには小さな虫が!ビンテージによって虫の位置が違うという遊び心も。この写真ではピンがボケているけど、右上のが虫のマークです。
「2017 Cabernet Sauvignon」($100)と「2017 Rubicon」($210)
カベルネ・ソービニオンは過去にグルメピエロのインスタで登場していたのですが、前に飲んだものは美味しいんだけど、少し頭に「?」が付くというか値段ほどの価値をその時は感じられなかった気がしました。少し割高な感じ。ただ、今回ワイナリーで飲んだものはとっても素晴らしく感動!
カシスなどのブラック系の果実が存在感をドンと主張するものの、舌触りは滑らかでとってもシルキー。余韻が長くて幸せに包まれるいつまでも楽しみたいと思わせるようなワインでした。
そして、このワイナリーのフラグシップ「ルビコン」。複雑さのなかにやさしさのあるワイン。オーパスワンは女性的なエレガントさがあるけど、こちらは男性的。強いけど奥にやさしさもある。まるで映画版ドラえもんだけでみせるジャイアンのような(笑)
ルビコンは、紀元前49年にカエサルが渡ったという小さな川にちなんでつけられたのだとか。「ルビコン川を渡る」というのは、後も戻りのきかない道を歩むことや大きな決断を下すことの例えにもなっています。このワインはコッポラが「現代の味覚を満足させることができるワインでありながら、私たちのブドウ畑が最高峰のものであることを示す歴史的な側面も持ち合わせたもの」を目指して作った。そんな強い意志が込められたワインなのです。
まとめ
店舗詳細
予約は公式HPから!
(イングルヌック)
営業時間:10:30-17:00
定休日:なし
電話番号:+17079681161
公式サイト:http://inglenook.com/
予約サイト:https://www.inglenook.com/visit/experiences
住所:1991 St Helena Hwy, Rutherford, CA 94573
オススメ度
★☆☆☆☆ 行く価値なし
★★☆☆☆ 微妙
★★★☆☆ 美味しい
★★★★☆ 絶対にまた行きたい
★★★★★ 唯一無二の感動店
※自信を持ってオススメするのが★4以上!
スーパーでグレイトなワイナリー。ワインの味・ワイナリーの雰囲気・人とどれもが素晴らしかった。アメリカって歴史があまりない国だからか最新のアイデアとかデザインとかそういうのが好まれる中、このワイナリーは歴史を積み上げ、時間の大切さを感じさせてくれるようなところでした。とにかく心地良くて優しい空間。店員さんのホスピタリティーも素晴らしい。ナパバレーに訪れたなら是非訪れることをお勧めします。
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